不動産売却時の売主の責任 ~契約不適合責任~  | センチュリー21安藤建設

不動産売却時の売主の責任 ~契約不適合責任~ 

不動産の売却は一度きりの大きな取引であり、売買代金や引き渡し時期と同じくらい重要なのが「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」です。契約不適合責任について十分に理解しないまま契約をしてしまうと、売却後に買主から補修費用や損害賠償を請求されるなど、思わぬトラブルに発展するおそれがあります。

本コラムでは、不動産売却で起こりやすい「契約不適合責任」を巡るトラブルと、その回避・対策について、不動産会社として日頃ご相談を受けるポイントを踏まえながらわかりやすくお伝えいたします。最後には、安心して売却を進めたい方向けに、センチュリー21安藤建設へご相談いただくメリットもご紹介します。

契約不適合責任とは何か

まず押さえていただきたいのが、「契約不適合責任」とは、売買契約で定めた内容と実際に引き渡された不動産の状態が食い違っていた場合に、売主が負う責任のこと、という点です。「契約書どおりのものを渡せなかったときに問われる責任」とイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

かつては「瑕疵担保責任」と呼ばれていた制度が法改正により見直され、「契約不適合責任」として整理されました。古い解説記事などでは今でも「瑕疵」という言葉が使われていますが、現在は「契約と合っていないかどうか」が基準になりますので、契約書の内容と現実の物件状態をどう一致させるかが非常に重要になっています。

例えば、契約書に「雨漏りなし」と記載したにもかかわらず、引き渡し後に雨漏りが発覚した場合、買主から補修を求められたり、契約解除や代金減額を請求されたりする可能性があります。売主としては「長く住んでいたが気づかなかった」「たまたま最近の大雨で出た」と感じるかもしれませんが、契約上は「合意した状態と違う」ことが問題となる、という点がポイントです。

不動産売却で起こりやすい契約不適合トラブル

契約不適合責任を巡るトラブルは、売主・買主双方の認識のズレや情報不足から生じることが少なくありません。ここでは、売却の現場で起こりやすい典型的なケースを取り上げ、イメージしやすいようにご説明します。

雨漏りやシロアリなど建物の不具合

もっとも多いのは、建物の構造や性能に関わる不具合です。代表例としては、天井や窓周りからの雨漏り、床の傾き、シロアリ被害、基礎コンクリートのひび割れ、給排水管の漏水などが挙げられます。日常生活では目立たず、売主ご自身も「特に問題なく住んでいた」と感じていても、専門家の調査や買主の入居後に不具合が発覚するケースがよく見られます。

例えば、築年数の古い戸建てで、一部の部屋だけ床が少し柔らかい状態だったものの、「昔からだから」と深く気に留めていなかったところ、買主がリフォーム工事の際に床下を開けたところシロアリ被害が見つかり、補修費用の負担を巡ってトラブルになる、といったケースです。売主としては「知らなかった」という感覚でも、買主から見れば「契約時に聞いていない重大な不具合」と捉えられる可能性があります。

越境・境界問題など土地に関する不具合

土地の売却では、境界や越境を巡るトラブルが契約不適合責任の問題につながることがあります。境界杭が見当たらない、隣地との境界線が曖昧なまま売却してしまった、ブロック塀や樹木、雨どいなどがわずかに隣地へ越境していた、といったケースです。

売却後に買主と隣地所有者との間で境界紛争が発生し、「購入時に説明を受けていない」「境界が確定していない土地だとは思わなかった」として、売主に説明義務違反や契約不適合責任を問う動きに発展することもあります。境界や越境の問題は、補修工事や測量費用、隣地との協議などに時間と費用がかかるため、トラブルになると長期化しやすいのが特徴です。

設備の故障・不具合の見落とし

エアコン、給湯器、床暖房、ビルトインコンロ、浴室乾燥機などの設備の故障や不具合も、契約不適合責任の対象になることがあります。「古い設備だからいつ壊れてもおかしくない」と売主が考えていたとしても、契約書上は「正常に作動する設備」として引き渡したことになっていれば、引き渡し直後の故障について売主側の責任を問われる可能性があります。

具体的には、内覧時には問題なく動いていた浴室乾燥機が、引き渡し後すぐに動かなくなった場合などです。買主からすると「引き渡し時点で問題があったのではないか」と感じやすく、補修費用の負担を巡って話し合いが難航するケースが見られます。

説明不足・告知漏れによるトラブル

物件自体の不具合だけでなく、過去の修繕歴や事故歴、近隣トラブルなどの告知が不十分な場合にも、「契約の内容と異なる」として問題になることがあります。例えば、「過去に雨漏りがあったが補修した」「シロアリ被害があったが防除工事をした」といった事実を、売主は「もう直っているから」と考えて告知しなかったところ、後になって買主がその事実を知り、不信感から紛争に発展するケースです。

告知のポイントは、「売主にとっては些細なことでも、買主にとっては購入の判断を左右する情報になりうる」という点です。「言わなくてもいいだろう」と売主が自己判断で情報を省いてしまうと、後で「聞いていれば買わなかった」「もっと条件を交渉できたはずだ」と言われ、契約不適合責任や損害賠償の問題につながるリスクがあります。

契約不適合責任で売主が負う可能性のある責任

契約不適合責任が問題になった場合、売主が負う可能性のある責任にはいくつかの種類があります。どのような対応を求められるのかを知っておくと、契約内容を検討する際の参考になります。

追完請求(修補・代替物・不足分の引渡し)

買主は、まず「契約どおりの状態にしてほしい」という意味で、修理や補修、足りない部分の引き渡しなどを求めることができます。これを「追完請求」と呼びます。戸建住宅であれば、雨漏りの補修工事やシロアリ被害部分の修復工事などが該当します。

追完請求は、売主の負担が最も素直にイメージしやすい対応です。補修費用が高額になる場合や、工事中の騒音・日程調整などを巡って買主との調整が必要になるため、実務的にも負担が大きくなることがあります。

代金減額請求・損害賠償請求

追完が難しい場合や、追完をしても買主側に損失が残る場合には、買主から売買代金の一部を減額するよう求められたり、追加で損害賠償を請求されたりすることがあります。例えば、買主が自費で先に補修工事を行い、その費用相当額の支払いを売主に求める、といった形です。

売主にとっては、売却後に予想外の出費が発生することになりますので、売却代金の使い道(ローンの返済や新居購入資金など)をあらかじめ決めている場合には、資金計画に大きく影響することがあります。

契約解除

契約不適合の内容が重大であり、買主が契約を続けることを望まない場合には、契約自体の解除を求められることもあります。この場合、売主は受け取った売買代金を返還し、買主は物件を売主へ戻すことになります。引き渡し後に解除となると、固定資産税や管理費、引越し費用など、様々な費用負担や手続きが複雑に絡んできます。

特に、売却代金を使って住み替え先の購入を済ませているようなケースでは、売主側の生活設計そのものが大きく揺らぐことになりかねません。契約不適合責任による解除はあくまで例外的ではありますが、リスクとして頭に入れておくことが大切です。

契約不適合責任を巡るトラブルを防ぐための事前対策

ここからは、売主の立場でできる「契約不適合責任トラブルの予防策」について解説します。ポイントは「物件の状態把握」「情報の開示」「契約内容の整理」の三つです。

売却前に物件の状態をできるだけ把握する

まず大切なのは、ご自身が売却する不動産の状態をできる限り把握しておくことです。長年お住まいの自宅でも、床下や屋根裏、敷地の隅など、普段あまり意識しない部分には思わぬ劣化や不具合が潜んでいることがあります。典型的には、雨染みの跡、カビ、床の沈み、窓の建て付けの悪さなどです。

売主ご自身でのチェックに加え、必要に応じて建物状況調査(いわゆる「インスペクション」)など専門家による調査を検討されるのも一つの方法です。調査を行うことで、不具合箇所が事前に明らかになれば、売出価格や契約条件の設定にも反映しやすくなりますし、買主にも安心感を持っていただけます。

知っている不具合や過去のトラブルは隠さずに伝える

契約不適合責任のトラブルを防ぐ上で、最も重要なのは「知っていることは正直に伝える」という姿勢です。売主にとっては言いづらい内容であっても、契約前にきちんと説明し、告知書や契約書に記載しておけば、後から「聞いていない」と言われるリスクは大きく下がります。

例えば、「過去に雨漏りがあったが、いつ・どこを・どのように修理したか」「シロアリ防除工事を実施した時期と内容」「リフォームや増改築の履歴」「近隣との騒音や境界に関するやりとり」などです。完璧な家である必要はなく、「どんな経緯をたどってきた家なのか」を正しく共有することが、信頼関係を築く第一歩になります。

契約書・重要事項説明書の内容をしっかり確認する

契約不適合責任は、最終的には「契約で何を約束したか」によって判断されます。そのため、売買契約書や重要事項説明書の内容を、売主としてもしっかり確認することが大切です。専門用語が多く、難しく感じる箇所もあるかもしれませんが、不動産会社の担当者に遠慮なく質問しながら、一つひとつ納得して進めていくことが重要です。

特に、「契約不適合責任に関する特約」「告知事項の記載」「設備表や物件状況報告書の内容」などは、後々のトラブルに直結する部分です。「なんとなくサインした」状態にならないよう、不明点はその場で確認し、必要であれば文言の修正や追記も相談するようにしましょう。

契約不適合責任の期間・範囲を特約で調整する考え方

実務上は、売買契約書の中で「契約不適合責任を負う期間」や「責任を負う範囲」を特約によって定めることが一般的です。売主にとって負担が大きくなりすぎないようにしつつ、買主にも一定の安心感を提供できるバランスを探ることがポイントになります。

責任期間を限定する特約

契約不適合責任の期間は、通常「引き渡しの日から◯か月」といった形で定めます。あまりに短すぎると買主の不安が大きくなりますし、長すぎると売主にとってリスクが大きくなりますので、物件の築年数や状態、売主・買主双方の事情を踏まえて調整していくことになります。

例えば、築浅のマンションと築古の戸建てでは、想定される不具合の種類や発生しやすさが異なります。売主としては、「築年数なりの経年劣化まで責任を負うのか」「引き渡し後に新たに発生した不具合との線引きをどうするか」といった点も意識しながら、期間設定の妥当性を担当者と相談していくと安心です。

責任を負わない範囲を定める特約

次に、契約不適合責任の対象から外す項目や、責任を負わない範囲を定める特約も検討されます。典型的には、「設備については現状有姿で引き渡し、引き渡し後の故障については売主は責任を負わない」といった免責の取り決めです。

ただし、一方的に売主だけに有利な条文を入れてしまうと、買主の不信感を招いたり、取引自体が成立しにくくなったりする可能性があります。あくまで「物件の状態に見合った妥当な範囲での免責」となるよう、不動産会社と相談しながらバランスを取ることが大切です。

売主が「やってはいけない」行動

契約不適合責任を巡るトラブルは、「少しくらいなら大丈夫だろう」という判断が積み重なった結果、後から大きく表面化することがあります。ここでは、売主として避けたい行動をいくつかご紹介します。

一つは、「聞かれていないことは言わなくてもよい」と考えてしまうことです。担当者や買主からの質問に対して、都合の悪い情報を曖昧にしたり、省略したりすると、後で判明したときに「意図的に隠していたのではないか」と疑われる原因になります。逆に、先にきちんと話しておけば、買主も納得した上で契約できますので、トラブルの芽を摘むことができます。

もう一つは、「物件の状態をよく見せようとし過ぎる」ことです。例えば、ひび割れや雨染みを表面的に塗装して隠してしまうと、後から補修痕がかえって目立ち、不信感を生むことがあります。売却前の簡易的な補修やハウスクリーニング自体は良いことですが、あくまで「隠す」のではなく「整える」イメージで、気になる箇所は正直に説明しながら進めるのが安心です。

専門家である不動産会社に相談するメリット

契約不適合責任は、法律と実務の両方の観点から考える必要があるため、売主ご自身だけで判断するのは簡単ではありません。契約条文の意味や、どこまで告知すべきか、どんな特約が妥当かなど、気を配るべきポイントは多岐にわたります。

こうした中で、不動産会社にご相談いただくメリットは、豊富な取引経験をもとに「トラブルになりやすいポイント」を事前に洗い出し、売主・買主双方が納得できる形で契約内容を整えていけることです。実務上の注意点や、売主にとって過度な負担にならないようにするための工夫なども、個別の状況に応じてアドバイスできます。

センチュリー21安藤建設が大切にしている売却サポート

センチュリー21安藤建設では、不動産の売却を検討されているお客様に対して、「安心して任せられること」と「納得感のある取引であること」を何よりも大切にしています。契約不適合責任を巡るトラブルは、売主様にとって精神的なご負担も大きいものですので、事前のご説明と、物件の確認・書類の整備にじっくりと時間をかけてサポートいたします。

具体的には、物件の状態やこれまでの経緯について丁寧にヒアリングしたうえで、告知すべき内容の整理や、契約内容・特約の検討をお手伝いします。また、売却価格や販売方法だけでなく、「どこまで責任を負うか」「どの程度まで準備・修繕をするか」といった観点も含めて、お客様と一緒に最適な売却プランを考えてまいります。

不動産売却でお悩みの方へ

「売却した後にトラブルにならないか心配」「契約不適合責任と言われても、何から考えればいいかわからない」という方は、一度じっくりとお話をお聞かせください。物件の状態やご事情、ご希望の売却スケジュールなどを踏まえて、どのような準備をしておくと安心かを丁寧にご説明いたします。

ご相談やお問い合わせは、下記のフォームからお気軽にお送りいただけます。

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すでに売却を具体的に検討されている方は、査定のご依頼をいただくことで、おおよその売却価格や想定される販売期間、契約内容の方向性なども含めてご案内が可能です。

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契約不適合責任を正しく理解し、事前にできる対策をとっておくことで、不動産売却はぐっと安心して進められるようになります。売主様お一人で悩みを抱え込まず、ぜひ早めにセンチュリー21安藤建設へご相談ください。

※本コラムは2025年11月30日現在の情報をもとに作成しています。法改正や運用の変更などにより、内容が実際と異なる場合がございます。その際は、お手数ですがセンチュリー21安藤建設までお問い合わせください。

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